演劇を通して世界平和を考える記念日、それが『世界演劇の日』です。「えーっ、ちょっとお堅いな」と思ったそこのあなた! 『世界演劇の日』を通して私たちにもできることがありました! 世界を救うのは、あなたかもしれない!?
3月27日は『世界演劇の日』
『世界演劇の日』は、「演劇を通して、世界平和や文化について考えよう!」という記念日で、国際演劇協会(ITI)によって定められました。
記念日を作ろうよ! と提案したのはITIフィンランド支部代表者のアルヴィ・キヴィマーという文芸家です。”文芸で民族差別を撲滅だ!“と考えるグループにも入っていたアルヴィは、芸術と平和に対して強い想いを持っていたのですね。
1961年のITI総会で正式に提案が出され、翌年1962年3月27日に開催された「諸国民演劇祭(シアター・オブ・ネイションズ)」の舞台で、記念日のお披露目となりました。
「ワールド・シアター・デイ」の名前で親しまれる3月27日には、世界中でたくさんの演劇イベントがおこなわれ、愛と平和、演劇文化発展への祈りを捧げるのだそうです!
そもそも、「演劇」ってナンスカ?
「演劇」と聞いて最初に浮かぶイメージってどんなものでしょう? オペラやミュージカル、宝塚歌劇団のように、ちょっとハードルが高いと感じる人も多いと思います。しかし! 私たちと演劇は、子供の頃からの長~い付き合いなんですよ!
演劇とは、動作・言葉・音などで観客に気持ちや思考を伝える芸術のことです。辞書にも以下のように記されています。
ことばと身ぶりによって表現される芸術の一形態で、人間社会においてつねに、どこにでも存在する文化の一様式でもある。
「日本大百科全書(ニッポニカ)」(小学館)
つまり、運動会の組体操や盆踊り、合唱コンクール、弁論大会、文化祭など…これら全て「演劇」の一部なのですね!
私たちは学校教育の場から演劇と関わり、気持ちを伝える事や相手の気持ちをきちんと理解する事を学んできました。そう考えると、『世界演劇の日』をより身近に感じますよね!
世界に届け!「ワールド・シアター・デイ・メッセージ」
さて『世界演劇の日』を身近に感じてもらえたところで紹介したいのが、毎年3月27日前後に開催される大注目のイベント「ワールド・シアター・デイ・メッセージ」です。
このイベントは、俳優・脚本家・監督など世界で活躍する演劇人たちが、世界平和や文化の発展をテーマとするメッセージを世界に向けて発信するというものです。
特に注目したいのは、2018年のメッセージ発表者マヤ・ズビフ氏です。
実はマヤ氏、日本に縁のある演劇人でもあります。彼女が設立した「ズゥカック劇団」が、日本美術協会から奨励されたことがあるのです。
※「高松宮殿下記念世界文化賞」『若手芸術家奨励制度』http://www.praemiumimperiale.org/ja/
「ズゥカック劇団」は、紛争地の子供や女性に対して演劇を用いた心のケアをするのために作られました。
戦争や自然災害を経験した人々の中には、心に受けた深い傷によって日常生活が困難になる方がたくさんいます。「ズゥカック劇団」は、人々の心に演劇を通して語りかけ、寄り添い、痛みを和らげます。
マヤ氏は「ワールド・シアター・デイ」の舞台で、「演劇を通して、相違点ではなく類似性を見つける。すると、世界中の人たちと分かり合うことができる」と語りました。
彼女をはじめ多くの演劇人がメッセージを発信しています。演劇と言葉の持つ強い力を感じる「ワールド・シアター・デイ・メッセージ」。気になった方はぜひ、過去のメッセージもご覧ください!
『世界演劇の日』は、いつもより少しだけ多く相手の気持ちを考える日に!
演劇と平和を繋ぐキーワードは「考える」ことだと感じます。
国内外で活躍中の俳優 山田孝之さんも、役作りに関するインタビューでこんな話をしていました。
考える、理解するっていうことですね、その人がどういう人間であるかを。声の大きさや、どれくらい相手の目を見るか?こういった全てに「こういう人間だから」という理由が出てくるんです。それに、このシーンで何を相手に伝えたいのか?本当にそれを思って言っているかも大切。計算というよりは考えないと。
「相手なら何を思うか」そう考える過程には、他者に共感する力が必要です。世界中の人々が国や、言葉や、見た目にとらわれないで相手に共感することができたなら、争い事はもっと減るでしょう。「世界演劇の日」が伝えたいことは、ここにあるように思います。
他人の気持ちを理解しようと努力することは、演者でない私たちにもできます!
『世界演劇の日』を通して、普段よりちょっとだけ多く、相手の気持ちを想う日にしてみませんか? 世界平和への第一歩は、そんな小さなことから始まるのかもしれませんよ!