普段何気なく使っているこんな言葉も!?実はありがたい意味が込められた「仏教用語」だった

谷口純平
谷口純平
2021.02.25

お正月にクリスマス、近頃はハロウィンなど。私たちは、年間を通してさまざまなイベントに参加していますよね。ご存知の通り、元を正せば、どれも宗教関連の行事ではありますが、現代ではあまり意識しないと思います。実は、みなさんが慣れ親しんでいる「言葉」にも、宗教の教えから派生しているものがたくさん。今回は、そんなさりげなくありがたい言葉を、日本人に馴染み深い「仏教」にフォーカスして紹介していきます。

まさか、この言葉は仏教の言葉だった!

ご存知でしたか?うどんによくかける『一味』って、実は仏教用語なのです。

これは、仏様は場所や時間、相手の能力に応じて説き方を変えても、相手が輝かしい人生を生きるために説くという、本質は同じであることを意味しています。
このように、仏教用語は何気なく意外なところに隠れているのです。

さあ、ここからは、みなさんの日常に潜んだ仏教用語を探し出してみましょう。

お住まいの空間にある仏教の言葉

この写真は、よくある一般的なお家の風景ですね。この中に存在する仏教用語を考えてみてください。ただ、ちょっと難しいかもしれませんので、以下に4つの選択肢を用意しました。

1.照明
2.階段
3.玄関
4.絵画

どうでしょう?お分かりでしたか?

答えは『玄関』です。

仏教の世界では、「玄」は奥深い悟りの境地を意味しており、「関」はその入口を意味した言葉です。つまり、『玄関』は「悟りという玄妙な仏教の境地への入り口」を表したものになります。

『玄関』は、仏教が日本に伝来したと同時に伝わったと言われています。当初は、寺院や格式の高い建物にのみ設置されていましたが、時代が変化するととも庶民の家でも見られるようになったのです。そして、今では『玄関』のある家が当たり前になり、人々の生活に馴染み深いものへと変化しました。

若者たちのレジャーにも使われている仏教の言葉

見ている通り、若者がゲームに熱中しております。格闘系なのか、はたまたスポーツ系かもしれませんね。よくあるシーンですが、この中にも仏教用語が潜んでいます。さあ、4つの言葉のどれでしょう?

1.ボタン
2.画面
3.熱中
4.アバター

正解は、なんと『アバター』でした。
カタカナだから、外来語だと思われがちですが、ちょっと意外ですね。

ゲームの仮想世界に存在する自分の分身をアバターと言ったりします。2019年には、ジェームズ・キャメロン監督が制作した「アバター」という3D映画も話題になりました。

その『アバター』という言葉。実はインドの仏教からきていたのです。『アバター(avatar)』は、古代インド語の「アヴァターラ(avatāra)」を語源としています。「アヴァターラ(avatāra)」は、「権化」「化身」の意味があります。仏教の「権化」や「化身」は、仏や菩薩などが、人々を救済するために人間世界に現れる仮の姿のことです。つまり、仏教の考え方では、仏の世界が「真の世界」で人間の世界が「仮想世界」になります。

しかし、現在「アバター」を使う場合は、人間世界を「真の世界」とし、ゲームやアニメなど「仮想世界」の自分の姿を「アバター」と呼んでいます。つまり、現在わたしたちが使っている「アバター」の意味は、仏教的な本来の意味とは逆転しているようですね。

いつも眺めている風景に隠れている仏教用語

最後は、平穏な空気が流れる路地を眺めてみましょう。子供たちや、おじいちゃんがのんびりと過ごしています。活気のある声が聞こえてきそうですね。この風景にも仏教用語が隠れているのです。また、ここにある言葉の中から選んでください。

1.雑談
2.うろうろ
3.ぼんやり
4.散歩

正解は『うろうろ』です。

あてもなく歩き回ることを「うろうろする」などと言いますが、こちらも仏教用語が語源なのです。『うろうろ』は、漢字で「有漏有漏」と表します。「漏」とは、人から溢れ出る煩悩のことです。つまり、「漏(煩悩)」が「有る」と書いて『有漏』なのです。反対に、悟りを開いて煩悩がない状態を「無漏」といいます。わたしも道に迷った時に、よくうろうろしてしまうので、できるだけ煩悩を減らして、うろうろしないようにしたいです。

身近な仏教を見つけて、日本文化を楽しもう

古来から日本の文化と密接に関わってきた仏教は、今も日本人の生活や習慣に深く影響を与えています。言葉以外にも節分やお盆など、仏教の影響を強く受けた行事が多くあります。わたしたちに慣れ親しんだ行事や言葉の起源を探ってみることで、意外な発見があるかもしれません。

谷口純平
WRITER PROFILE

谷口純平

福岡在住。伝統工芸など日本文化を中心に活動。夢は「小学生のなりたい職業ランキング」の10位以内に"職人"をランクインさせること。折り紙は結構得意です(折紙講師資格取得)

Twitter:@jumpaper_inc

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