見たことはある、だけど「なんて読むのか分からない」って言葉ってありますよね。いざという時のために、漢字の読み方や意味は知っておきたいところ。
「吝かではない」
あなたはこの言葉を知っていますか?
なんとなく見たことはあるけど、詳しくは知らないという人が多いでしょう。特に10〜20代の若い方は、馴染みがない言葉だと思います。
そこで今回は「吝かではない」の読み方や使い方について解説をしていきます。
「吝かではない」はどう読む?
この言葉は、
「やぶさかではない」
と読みます。「聞いたことはあるけど、実際に使ったことがある」という人は少ない言葉ではないでしょうか?
これは主に、ビジネスシーンで使われています。あと時代劇とかでも聞いたことがあるという人もいるかもしれませんね。
会社員として働いている人は、覚えておくと、いざという時に役立つフレーズですよ!
「やぶさか」ってそもそもどんな意味?
早速、「やぶさか」の意味を調べてみましょう。
【意味】 やぶさかとは、ためらうさま。物惜しみするさま。けちなさま。打ち消しを伴なった「○○するにやぶさかでない(やぶさかではない)」の形で、○○する努力を惜しまない。
(引用:語源由来辞典)
簡単にいうと「やりたくない」「気持ちが乗らない」とも言えますね。基本的に「やぶさかではない」という、否定形の言葉とセットでつかわれるため「あぁ〜やぶさかだわ」なんて表現はあまりされていません。
つまり、「やぶさかではない」という言葉は、やりたくないわけではないという二重否定になるため、「喜んで〜する」「やってもよい」という意味にかわり、肯定的な言葉として使われているのです。
「やぶさか」の語源は平安時代!
「やぶさか」の語源は平安時代まで遡ります。先ほどご紹介した「語源由来辞典」に詳しく書かれていたので、ご紹介しましょう。
物惜しみする意味の動詞「やふさがる」、けちを意味する形容詞「やふさし」と同源と考えられている。
鎌倉中期以降は、「やふさがる」「やふさし」は用いられなくなり、「やふさ」に接尾語の「か」がついた「やふさか」「やっさか」という語が生まれたが、「やっさか」は消滅した。
やがて、「やふさか」の二音節が濁音化され、「やぶさか」となった。
(引用:語源由来辞典)
時代劇でよく聞くフレーズになっているのも、昔から親しまれていた言葉であることがわかります。こうやって調べていくと、ちょっと日常でも使ってみたくなりますが、使う場面がなかなかないかも……!?(笑)
誤用に注意! どんな時に使うのが正解?
若い世代は「やぶさかではない」の意味を履き違えている人もいます。「しかたなくする」「しぶしぶやる」だと勘違いしていて、この言葉を聞くと嫌な気持ちになる人もいるようです。
使うシーンが少なくなった、現代の若者にとっては「関係ないやー」と思ってしまう人も多いと思いますが、「やぶさかではない」の使い方を知っていて損はありません。
いざ! という時にすぐ使えるよう、「やぶさかではない」を使った例文をいくつか紹介します。
「部長の頼みなら出張に行くのもやぶさかではない」
「社長に今後の方針を発表したところ、やぶさかではないようだ」
2つの例文は前向きな姿勢を表しているので、それぞれ「出張」と「方針」に賛成しているという意味ととれます。
間違えても否定的な意味を持つ「やぶさか」だけで使わないように注意してくださいね!
目上の人に使っても大丈夫?
「やぶさかではない」を目上の人に使っても大丈夫です!
例えば「御社からの依頼なら喜んでお引き受けします」と「御社からの依頼ならやぶさかではありません」は同じ意味として捉えられます。
前者は素直に喜びを表し、後者に関しては、少し控えめに喜ぶといった感じです。
特に若い人が「やぶさかではありません」を使うと、関心をされることがあるかもしれないので、使える場面では積極的に使っていきましょう。
とは言っても、いきなり「やぶさかではないです」なんて言い始めて「え、この人大丈夫?」と心配されることもあるかと思いますので、TPOに合わせて使いましょう。
また「やぶさかではない」は、肯定的な意見で使う言葉ですが、感情を表に全面に出す表現ではありません。謙虚な姿勢で前向きな気持ちを表現する言葉です。
本当に嬉しいときは素直に「嬉しいです」と言い、あまり表現できない場では「やぶさかではない」と伝えるのが良いかもしれませんね。
まだ使ったことがない人は、会社や取引先で活用してみてはいかかでしょうか? やぶさかではないブームが到来するかも!?