吸って、収穫して使い、そしてまた育つ──いつも使うものからひとりひとりが生み出す循環へ。竹から生まれたトイレットペーパー「BambooRoll(バンブーロール)」

センノヂ
センノヂ
2021.06.07
BambooRoll(バンブーロール)

ふだん暮らしていて当たり前に手に入るもの、生活するうえで絶対に必要なのに、あまりに身近過ぎてまったく意識してこなかったもの…気付いてはいないけれど、そんな存在って必ずありますよね。
今まで当たり前だった風景が一変した2020年でしたが、中には思わぬかたちで、その存在について意識せざるを得なくなったものも。そのひとつにトイレットペーパーがありました。

あの時期、トイレットペーパーが売り場から忽然と消えてしまい、苦労した人も多いのでは?私も残り半ロールもなくなった時点でようやく手に入れられ、有り難さが本当に身に染みてわかった記憶があります。

「BambooRoll(バンブーロール)」は100%竹が原材料のトイレットペーパー。ふだん使う身近なものを目にするたび、環境について思い出せるように…そんな思いで作られました。でも、なぜ、竹なのか。竹を使えば森林を守れるのか。そんなことも含めて、ご紹介していきます。

「バンブーロール」とは?なぜ竹を使ったかが見えてくる

BambooRoll(バンブーロール)

「バンブーロール」は、竹から生まれたトイレットペーパーを定期的に届けてくれるサブスクリプションサービス。通常のトイレットペーパーの原材料が木材のパルプであるのに対し、「バンブーロール」には日本でとても馴染み深い竹が使われているのが特徴です。

なぜ、木材ではなく竹を選んでつくられたのでしょう?トイレットペーパーを取り巻く状況と、竹の特徴についての説明をします。

トイレットペーパーは森林に負担をかける?

BambooRoll(バンブーロール)

トイレットペーパーをつくるには、古紙を除けば木材パルプが必要になり、多くの森林に負担がかかることに。トイレットペーパーなどの紙製品のために世界中では毎日27万本にのぼる木が失われますが、そのうちトイレットペーパーが占める割合は10%を占めています。(WWF調べ*1)

日本におけるトイレットペーパーの1日あたりの使用量は、なんと世界では4位!(NRDCのレポートより*2) いかに日本がぜいたくな状況であるかがわかりますよね。
多くの森を失えば気候変動を招き、いずれ動植物や環境に深刻な影響が及ぶことになるでしょう。
このような事態を防ぐには、竹をはじめとする代替繊維を使用するなどの解決策を取り、早急に環境や森林保全に努める必要があります。

育つスピードとパワーがあふれる竹を使うかがカギに

まっすぐ伸びた幹が特徴の竹ですが正確には木ではなく、木よりも成長が早い草のような存在。約3か月で10m以上成長するともいわれます。成木になるまで10年以上を要する木に対し、竹が大人になるまでは3年で、世界一成長の早い植物としてギネスでも認められるほど。

収穫後にまた自然に生え、毎年地下茎から生えるタケノコによっても増えていきます。放っておいても少量の水だけで育ち、農薬も必要ありません。
さらに、成長過程の5年程度は針葉樹や広葉樹よりも多くの二酸化炭素を吸収できる特徴もあり、環境に負担をかけない、木材やプラスチックに替わる素材として期待を集めています。

BambooRoll(バンブーロール)

いっけん良いことずくめな竹ですが、その旺盛な繁殖力から森林に浸食して他の植物を枯らしてしまったり、地面の浅い場所に張る地下茎が原因の地滑り被害など、放置された竹林の「竹害」の問題が生じているのも事実。

竹の資源としての活用は「竹を収穫し、素材として使用、さらに自生した竹が二酸化炭素を吸収する」という循環を生み、さらには環境や森林を守り、竹害の解消にもつながります。「バンブーロール」はその循環をつくり出すもののひとつであり、ひとりひとりが環境について考え、持続可能な暮らしをするきっかけになるようにという願いが込められています。

トイレットペーパーを生活を変えるきっかけに

森林や環境保全への効果が期待ができる素材、竹。そんな竹からつくられる「バンブーロール」ですが、原材料のみならず、製造工程や届いた後のことも考えられています。環境に配慮したさまざまな取り組みについてもご紹介します。

使い心地とつくる工程までを考えた、使う人と環境にやさしい製品

BambooRoll(バンブーロール)

トイレットペーパーは白いもの──なんとなくそんな思い込みがありましたが「バンブーロール」は無漂白で、白くはありません。素材そのもののやさしいナチュラルな色合いが目を引きます。直接肌に触れるのでうれしいですよね。

「バンブーロール」の製造時に使うのは、水力100%の電力。二酸化炭素を発生させないクリーンなエネルギーです。人にやさしい使い心地を提供しながら、つくる過程でも環境への配慮を怠りません。

届いてからゴミが出ないゼロウェイストな仕組み

「バンブーロール」のパッケージは、あなたが使っているトイレットペーパーのイメージとは異なるかも知れません。採用しているのはリサイクルの段ボールで、すべてプラスチックフリー。

芯にも竹生まれの紙を使用、さらには梱包用のテープにいたるまで紙製にこだわり、リサイクルにつなげています。こうして「バンブーロール」では、届いてからもゴミや無駄なものが出ないような仕組み、ゼロウェイストを目指しています。

BambooRoll(バンブーロール)

1箱に入っているのは、4人家族がだいたい一か月で使う量を想定した18ロール。届ける頻度は使う量やペースにより選べます。これは、なくなったら買うというこれまでの消費の仕方ではなく、残った量を意識しながら、考えて節約して使う方法の提案でもあります。

素のままのロールの中に、紙で個包装されたロールがふたつ入っていますが、これはおためしで人にあげられるようにとの配慮から。「バンブーロール」の輪が広がるよう、ぜひお友達に分けてあげてくださいね。

日常の気軽にできるチャレンジからつくる小さな循環

BambooRoll(バンブーロール)

「バンブーロール」は、長野、エストニア、米国のポートランドを拠点とするスタートアップ企業・おかえり株式会社が販売しています。2021年5月に正式スタートしたばかりの生まれたてホヤホヤのサービスなのです。

「“還す”を未来のあたりまえに」をビジョンに掲げ、サステナブルなプロダクトやサービスを開発する同社。いつも使うものだかろこそ、消費や暮らし方の変容をうながせると考え、生活するうえでは欠かせないトイレットペーパーが選ばれました。

「バンブーロール」は、コスパ重視でトイレットペーパーを選ぶような私からすると、ちょっと高級なのかなという印象でした。しかし1週間に使用するのがだいたい1ロール、値段にすると100円ほど。

環境に配慮した生活をしたいと思っていても、なかなかハードルが高いと感じるもの。日常的に気軽にできるチャレンジから、小さな循環をつくってみてはいかがでしょう。

(*1)WWF WEBサイトより
https://forestsforward.panda.org/?50660/Forests-flushed-down-the-toilet

(*2)NRDCによるレポート
「THE ISSUE WITH TISSUE:HOW AMERICANS ARE FLUSHING FORESTS DOWN THE TOILET」
https://www.nrdc.org/sites/default/files/issue-tissue-how-americans-are-flushing-forests-down-toilet-report.pdf

 

商品情報

商品名   BambooRoll(バンブーロール)
販売元   おかえり株式会社
公式サイト https://bambooroll.jp/

センノヂ
WRITER PROFILE

センノヂ

昭和40年代のセンスに魅せられ古着やインテリアにハマるが、現在ではその頃に建てられたとおぼしきビルや住宅を愛でるのが何よりの癒し。いつか、自分でプロデュースした雑居ビルを建ててみたいです。

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