みなさん、こんにちは。半分台湾人のSeikyoです。
今回ご紹介するのは、日本発の「東京を走るため」に生まれた自転車「トーキョーバイク」。その台北に置かれる店舗が、2021年の年末に台北の日本統治時代から残る木造家屋にて新たにオープンされた事例について、詳しくお届けしたいと思います。
早速みていきましょう!
台北に海外展開した「トーキョーバイク」
信号や坂道が多い東京の街を、気持ちよく走るために開発された「トーキョーバイク」。
その台湾での1号店は2013年にオープンし、世界初の「tokyobike café」というコンセプトのもと、自転車の販売・修理から、ハンバーガーやサンドイッチ、コーヒーなどの軽食を扱う、カフェと自転車屋が合体した店舗となっていることで知られています。
2021年に元々店舗があった場所の賃貸契約満了に伴い、カフェを併設した店舗の次となる場所が選ばれたのが、台北市の萬華区に位置する「新富町文化市場」の隣に建つ日本式の家屋。なんとも日本らしい名前の市場ですが、実は戦前台湾が日本に統治されていた時期に実際にあった町名から来ており、1935年に食料品小売市場のメインの建物が建てられ、それ以外に事務所や管理人の宿舎などが周辺に建ちました。
「tokyobike Taiwan」の店舗空間として選ばれたのが、市場のメインの建物の北東に位置する、もとは管理人の勤務場所と住まいとして使われていたこの木造の家屋。昭和時代から残る、日本でも見かけることが少なくなりつつある建物が、こうして台湾で再利用されたのです。
昭和の日本家屋をリノベして商業空間に
この市場の建物は台北市の「市定古跡」に選定されているため、内装する際に規定のルールに従う必要があるだけでなく、「トーキョーバイク」が本来持つ都会的でスタイリッシュなブランドイメージとうまく融合させる必要がありました。
そこで襖や押入れなど元の姿は残しつつ、木の温もりが感じられる空間の中に、あえて自転車のパーツを連想させる金属の家具などを取り入れることで、古き良きものとモダンなものが同時に存在する空間を創出したのです。
トーキョーバイクのコンセプトである「Tokyo Slow」―スピードを出すことよりも、その街の風景や空気の匂いを緩やかに感じ取る、といった世界観を最大限に体現しています。
隣接する地元の市場から考案された期間限定メニュー
「tokyobike café」では、昨年の年末にオープンした際に、期間限定で隣接する地元の市場のお店から提供された具材を使った2種類の特製ハンバーガーが発売されました。
一つ目は台湾のローカルフードである、魚とイカのすり身の揚げ団子を具にした特製ハンバーガー。1957年に創業された魚の揚げ団子の専門店「艋舺大豐(元大豐魚丸店)」で作られた団子を使用しています。二つ目は台湾に多いベジタリアン向けに作られ、乾燥ゆばと椎茸からできた台湾風のふりかけがトッピングされており、こちらは豚肉のでんぶを主に扱うお店「源味香」が具材を提供しています。
考案されたメニューの一つ一つから、地域の歴史とのつながりと、伝統的な「食」を新しい形で人々に提供するというアイデアに満ちていることが伺えます。現在では、コーヒーや台湾茶、サンドイッチなどの軽食をオーダーすることができます。
歴史的建造物のリノベが盛んな台湾
今回もまた一つ、歴史に残る建物がリノベーションされた事例についてご紹介しました。
場所によって展示スペースとして利用されたり、店舗として使われたりと、使用目的は多岐に渡りますが、様々な人々の知恵と工夫が集まり、地域の文化や歴史を結ぶ場所として再利用され、一度は廃れたものの、あらためて人が集まるスポットとして活用されています。
トーキョーバイクに親しんだり、ゆったりとコーヒーを飲む傍らで、その地域一帯が辿ってきた歴史についても知ることができる絶好の場所だと感じました。
では、次回もお楽しみに!
店舗情報
|tokyobike Taiwan
https://tokyobike.tw/