みなさん、こんにちは。半分台湾人のSeikyoです。
今回ご紹介するのは、私が大学の卒業制作で手がけたプロジェクト、「Floral Tale」です。
台湾に咲く花々にまつわる神話をテーマにした「光る絵本」を、さっそく見ていきましょう!
多民族が生きる台湾の地に、語り継がれる「花物語」の数々
台湾には最も数が多い漢民族以外に、実に何千年も前からこの島に住む先住民族の人たちが、共に生活を営んでいます。その少数民族の数は16にのぼり(2020年6月現在)、それぞれの居住地域には独自の文化が育まれ、自然や信仰にまつわる神話が代々語り継がれてきました。
普段台湾で生活をしていてもなかなか耳にしないような昔話を、「花」を軸に集めてお部屋の中でも見て楽しめるような絵本にしたいという思いが、このプロジェクトを始めるきっかけでした。
紙芝居のように物語の進展を楽しめる工夫
まず最初に、数多く存在する台湾の花にまつわる神話を史料から捜し集め、頭の中でイメージにしやすかったものを選定することにしました。その結果、漢民族にまつわるお話が1つと、先住民族のお話を3つピックアップし、ストーリーの進展を読み解いて、それぞれの画面構成を考えることに着手しました。
ビジュアルのイメージが湧き上がったら、さらに8つのシーンに分解して「ストーリーカード」と呼ばれる板に画面を転写し、紙芝居のように一枚一枚を重ねてお話の風景が出来上がるように工夫をしました。個々のストーリーカードには番号が記載せれていて、順番に絵本にセットしていくことで次第に物語のイメージが完成していきます。
このカード自体の素材は紙ではなく、繰り返し使うことを考慮して耐久性の高いアクリル板を使用し、物語の登場人物や風景のエレメントはレーザーカットを使って、アクリル板上に表現しました。
ライトをつけると、美しいグラデーションが現れる
この4冊の「光る絵本」には、それぞれ花の色をもとにテーマカラーが割り当てられ、アクリル板もあえて光が透き通るように、透明で鮮やかなグラデーションが映るように加工を施しています。
ライトをつけると、「ストーリーカード」が重なって美しいグラデーションが見られるだけでなく、そのうちの数枚は左右に回転させて、登場人物が画面の中で動いたりと、物語に合わせてちょっとした「動き」を演出することもできます。
小さい子供から大人まで手にとって楽しめて、インテリアの一部としてお部屋の装飾にもできる絵本になっています。
花にまつわるエピソードを語り継ごう
このプロジェクトを経て、台湾の島に咲く花々を知ることができた一方で、実にこれだけ膨大な数の花にまつわる神話が存在するということに私は驚きました。この物語の数々を「光る絵本」という形で、少しでも多くの人に知ってもらえたら嬉しいです。
ひょっとしたら道端で咲く小さなお花にも、ずっと昔から語り継がれてきた伝説や神話が秘められているのかもしれません。みなさんもぜひ、そんな花のエピソードにそっと耳を傾けてみてくださいね。
では、次回もお楽しみに!
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