Goonnight hostel – リノベーションされた台湾の日本家屋

Seikyo
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2020.03.04
画像提供:©軍旅舍 goonnight hostel

みなさん、こんにちは。半分台湾人のSeikyoです。

今回ご紹介するのは、台湾南部の都市「高雄(たかお)」のとある民宿。
この新しく蘇った日本式の家屋について探っていこうと思います。

台湾の各地に現存する日本式の建物

1895年から50年の間台湾は日本に統治されていたため、多くの日本人が移住をして島の至る所にコミュニティが形成され、太平洋戦争の末期には40万人もの日本人が台湾で生活をしていました。本土と同じように建設を進めていたため、今なお島のあちらこちらに、その時代を垣間見ることができる庁舎や民家、宗教施設などの歴史的建造物が残っています。
私も休日に、台湾のあちこちに残る日本時代の建物を巡るのが、楽しみの一つでした。

桃園忠烈祠(旧桃園神社)に残る日本建築

敗戦後もそのまま使われ続けた民家たち

1945年の敗戦とともに、ほとんどの日本人は本土への引き揚げを余儀なくされ、台湾での財産はそのまま置いていくことになりました。その頃中国では、共産党との内戦に敗れた国民党の兵隊たちが台湾に逃れ、新たな住まいを探す必要があったのですが、既に台湾の人々が住んでいた地域ではなく、多くの場合空き家になってしまった日本人村が利用されたのです。その国民党の軍人と家族によって形成された居住地帯を、台湾では「眷村(ジュエンチュン)」と呼んでいます。
このように一般人が住んでいた家屋以外にも、台湾では当時の統督府などの官舎は今でも使われているケースが多く、ほんの80年ほど前の面影を目の当たりにすることができます。日本人が台湾を旅するときの魅力の一つともいえるでしょう。

台南の市街地に残る日本時代の民家

高雄左営に残る旧日本海軍の宿舎とその後の変遷

今回ご紹介する事例は、高雄の左営に位置する「建業新村」。ここはかつて第二次世界大戦中の1940年代の前半、旧日本海軍が左営に軍事拠点を整備するにあたって作られた宿舎群です。戦後は中華民国政府に接収され、国民党の軍人とその家族らが暮らしを営んでいました。改築や増築を重ねて当時の姿を全て残しているわけではないが、日本式の屋根瓦や碁盤の目のように整備された敷地など、至るところで日本時代の面影を目にすることができます。

まるで日本にいるかのような建業新村の風景 / 画像提供:©軍旅舍 goonnight hostel

日本の都会でも近頃は都市開発が進み、このような昭和の味が残る家屋を見かけることが少なくなりましたね。それほど遠くない台湾で、日本式の家屋が今でも当時のままの姿を残しています。

モダンな内装の民宿として生き返る

長い年月が経っていく中、当時中国から渡ってきた軍人とその家族も次第にこの地を離れ、廃屋化が進んでいました。そこで高雄市は「眷村」の活性化を目指し、家屋の保存と再利用を目指すプロジェクトを2014年に始動させたのです。

そんな中今年の1月、この宿舎群のうちの一軒が民宿としてリニューアルオープンしました。
その名も「軍旅舎goonnight」。「軍」の台湾語の発音「goon」と、英語の「goodnight」をうまく掛け合わせています。

画像提供:©軍旅舍 goonnight hostel
画像提供:©軍旅舍 goonnight hostel

内装は完全に日本家屋本来の姿に戻すのではなく、現代人でも過ごしやすい環境に改装されつつも、木製の柱など少なからず当時の和室の面影を残したままにしています。間取りの概念など和室ならではの特徴をうまく生かして、人と人の距離が自然に縮められる空間が見事に作りあげられています。

部分的ではありますが、ちょっとくつろげる畳のスペースも用意されていました。

画像提供:©軍旅舍 goonnight hostel
画像提供:©軍旅舍 goonnight hostel
ロゴマークのモチーフとなった建築資材 / 画像提供:©軍旅舍 goonnight hostel

歴史を伝える建物の再生

戦後は時代的な背景もあって、取り壊される運命を辿ることが多かった日本時代の建物たち。
今それらが歴史を語り継ぐ大切な人類の遺産として、島の至るところで修復や保存に力が注がれています。台湾の人たちの間でも、時代を問わずに文化的遺産は保存していこうという意識が高まってきているような気がします。

画像提供:©軍旅舍 goonnight hostel

この「建業新村」も様々な人々の努力によって大切に守られ、再び人が集まる憩いの場所にしようという思いから、取り壊されずに再利用が実現できたプロジェクトなんだと実感しました。是非あの時代の雰囲気を感じながら一泊してみたいものです。

ではでは、次回もお楽しみに!

施設情報

軍旅舎 goonnight hostel
住所      台湾高雄市左営区緯十路建業新村41号
公式Facebook  https://www.facebook.com/goonnight/
宿泊予約サイト https://www.booking.com/hotel/tw/goonnight-hostel-jun-lu-she.zh-tw.html?aid=1258472&label=Share-QtSqSul%401581417182

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WRITER PROFILE

Seikyo

1996年台湾生まれ。半分台湾人。東京でグラフィック&Webデザイナーとして働きながら、台湾と日本の文化のギャップをデザイン的な視点で発信中。

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