みなさん、スイーツはお好きですか?たっぷりとクリームが乗ったケーキに、アイスクリームやワッフル。食べて美味しいだけじゃなく、見ているだけでも幸せな気分になりますよね。そんな目で見ても楽しい「スイーツ」と「アート」が一緒になったら?
この記事では、スイーツデコの技術をアートに昇華させた第一人者・渡辺おさむさんの個展「渡辺おさむ|ULTRA SWEETS展」 (gallery UG Tennoz)をご紹介します。
スイーツ?それともアート?! 目で味わう作品たち
会場の扉を開けると、目にとびこんでくるのは、パステルカラーで彩られたカメやウサギ、犬といったかわいらしい動物たち。近づいてみると、この動物たちはカラフルな生クリームにマカロン、アイスクリームなどでつくられています。
思わず食べたくなってしまうほどにリアルな質感ですが、これらはすべて樹脂でつくられたアート作品。スイーツデコレーションのパイオニア的アーティスト・渡辺おさむさんの作品です。
ハリネズミのツンツンしたトゲや、犬のふわっとした毛並みなどがクリームの絞りかたで表されていたり、ユニコーンの角がアイスクリームのコーンで表現されていたりと、スイーツの質感が活かされています。
マカロンやアイスクリームのようなスイーツも、オレンジやバナナといったフルーツも本当にリアル。フルーツは実物で型をとったり、アイスクリームは実際のスクレーパーを使って成形したりしているのだそうです。本当に目でじっくりと味わうような、見ているだけで幸せになるような作品ですね。
「作家にできる事はひたすら作品を制作する事」。コロナ禍に1年かけて制作した≪⿃獣花⽊図屏⾵≫
今回、なかでも目を引くのは、伊藤若冲の≪⿃獣花⽊図屏⾵≫をモチーフにした≪Cream painting -鳥獣花木屏風図≫。六曲⼀双の計6メートルにもなる⼤作です。
伊藤若冲による≪⿃獣花⽊図屏⾵≫は、一双に8万個以上もある1cm各の”桝目”をひとつひとつ塗り込める「桝目描き」と呼ばれる方法で描かれた屏風。渡辺さんの作品では、”クリームの角”や”ワッフルの凹凸”がこの”桝目”に変わるように画面を覆っています。
コロナ禍で様々な展覧会が中⽌になる中、作家にできる事はひたすら作品を制作する事だと考え、2020年4⽉にこの作品の制作に取りかかったという渡辺さん。1年の時間をかけてこの作品を完成させたのだそうです。
作品の中では、全ての⽣き物が⽣きる喜びに満ち溢れたイメージが表現されています。
新しい美術様式「ウルトラスイーツ」とは?
今回の展覧会タイトル「ULTRA SWEETS (ウルトラスイーツ)」は、あらゆるものをスイーツで埋め尽くす渡辺さんの美術様式を表現した造語。
元となったのは、「ウルトラバロック」という建築様式。重厚で装飾的なバロック建築が、メキシコやペルーなど中南⽶諸国において、現地の美意識と混交することで驚くべき独⾃の変化を遂げた様式のこと。「過剰な装飾」「極端な造形」「鮮やかな色づかい」を特徴としています。
そんな「ウルトラバロック」のスイーツ版「ULTRA SWEETS」は、見慣れたモチーフにも新鮮な驚きを与えてくれます。会場でぜひこの驚きを体験してみませんか?思わず連れて帰りたくなる作品ばかりですが、展示作品は全て購入することもできます。「渡辺おさむ|ULTRA SWEETS」展は、天王洲アイルのgallery UG Tennozで2021年7月11日まで開催されています。
展覧会情報
渡辺おさむ|ULTRA SWEETS
展覧会サイト https://gallery-ug.com/ja/exhibitions-art-fairs/12033-2/
会期 2021年6月22日〜7月11日
休廊日 月曜日
時間 11:30〜18:30(金曜日のみ11:30〜20:00)
会場 東京都品川区東品川1-32-8 TERRADA ART COMPLEX Ⅱ 2F