ついにグランドオープン。さまざまなカルチャーが混ざり合う 角川武蔵野ミュージアム

ぷらいまり
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2020.12.01

いつもの「当たり前フィルター」を外して日常に目を凝らすと、そこは「発見」の宝庫。あえて少しだけ日常から踏み出すことで、一生知ることが無かったかもしれない「発見」と出会えることも。そんな「発見」が、あなたにとても大事な「化学反応」をもたらすかもしれません。

この記事では、あなたの「当たり前フィルター」が外れるきっかけになるかもしれないスポットをご紹介していきたいと思います。

photo by ぷらいまり
(写真撮影:ぷらいまり)

今回ご紹介するのは、2020年11月6日に東所沢にグランドオープンした「角川武蔵野ミュージアム」。8月のプレオープン時には隈研吾さんの建築を中心に紹介させていただきましたが、今回はグランドオープンにあたり、オープンしたカルチャースポットを中心にご紹介します。

無料ゾーンで楽しめる 親しみやすいアート作品群

存在感のある角川武蔵野ミュージアム。プレオープン時には、館内に入るのにも予約が必要でしたが、現在は館内には自由に入ることができます。

館内に入るととにかくインパクトのあるのが、アーティスト・会田誠さんによる《疫病退散アマビエ之図》。(こちらは引き延ばしたもので、原画は4Fに展示されています。)

《疫病退散アマビエ之図》 / 会田誠    photo by ぷらいまり
《疫病退散アマビエ之図》 / 会田誠(写真撮影:ぷらいまり)

こちらは、《コロナ時代のアマビエ》プロジェクトとして、2020年11月〜2021年10月末まで、2ヶ月おきに日本の現代アーティストたちが「現代のアマビエ」を角川武蔵野ミュージアム内外に制作するプロジェクト。今後、鴻池朋子さん、川島秀明さん、大岩オスカール、目のメンバーとしても活躍する荒神明香さん、そして最後はシークレットのアーティストと、全6アーティストの作品が展開されていく予定です。

このほか、奈良美智さんによる立体作品《PEACE HEAD》や、プロジェクションマッピング作品で有名なNAKEDによる《NAKED BIG BOOK》などの作品も楽しむことができます。

《PEACE HEAD》 / 奈良美智 photo by ぷらいまり
《PEACE HEAD》 / 奈良美智(写真撮影:ぷらいまり)

本との偶然の出会いを楽しむ「エディットタウン」

続いて、有料ゾーンの4Fへ。こちらは、巨大な図書館「ブックストリート」となっています。

エディットタウン エントランス photo by ぷらいまり
エディットタウン エントランス(写真撮影:ぷらいまり)

ユニークなのはその配架方法。松岡正剛館長の監修により世界を読み解くための「9つの文脈」にそって約2.5万冊の本が並びます。例えば、ブックストリートの入り口は「記憶の森へ」という切り口で、神話・自然・物語・風景といったテーマの小説から写真集までもが一緒に並びます。

ブックストリートの様子 photo by ぷらいまり
ブックストリートの様子(写真撮影:ぷらいまり)

頭上には書影を使ったアートボードや、ファッションデザイナー川西遼平による“本で作る服”ブックウェアなど様々なディスプレイも施されています。実際に入るまで、風変わりな配架方法やディスプレイは、本を読むのには適しているのかと少し不安でもありましたが、通常の図書館などでの分類とは違った並びで数珠つなぎのようにして、普段は出会うことがなかったような本当偶然に出会える体験は、また楽しい体験です。(司書さんがいらっしゃるので、欲しい書籍を探すこともできます。)

本棚劇場 photo by ぷらいまり
本棚劇場(写真撮影:ぷらいまり)

2フロアにおよぶ巨大な本棚「本棚劇場」では、期間限定の特集配架も。本棚へのプロジェクションマッピングも30分おきに行われています。

書棚の中の空間にある広大なギャラリー エディット アンド アートギャラリー

「エディットタウン」のなかには巨大なギャラリーも。「エディット アンド アートギャラリー」では、日本人とオーストラリア人によるアーティストユニット・米谷健+ジュリアによる日本初の大規模個展《米谷健+ジュリア展》 だから私は救われたいを開催中です。

《クリスタルパレス》 / 米谷健+ジュリア photo by ぷらいまり
《クリスタルパレス》 / 米谷健+ジュリア(写真撮影:ぷらいまり)

塩だけで再現された実物大の《最後の晩餐》のテーブル、ウランガラスで制作したシャンデリア《クリスタルパレス》、日本初公開の《大蜘蛛伝説》など、広大な空間を生かした作品群が並びます。

《最後の晩餐》 / 米谷健+ジュリア photo by ぷらいまり
《最後の晩餐》 / 米谷健+ジュリア(写真撮影:ぷらいまり)

現在、京都の農村にて無農薬農業を行いながら作品制作も行っている米谷健+ジュリア。図書館の奥にある静謐な空間の中で環境問題や社会問題をについて考える展示です。

「想像力」や「アニマ」の見せ方にこだわった驚異の部屋《荒俣ワンダー秘宝館》

「エディットタウン」の書棚の奥には、ひっそりと隠れるように《荒俣ワンダー秘宝館》という小部屋があります。《秘宝館》とは怪しげな響きですが、中には、UFOのカケラから昆虫標本、魚類〜鳥類の透明標本までの神秘的な世界な世界が広がります。

《荒俣ワンダー秘宝館》半信半疑の地獄 photo by ぷらいまり
《荒俣ワンダー秘宝館》半信半疑の地獄(写真撮影:ぷらいまり)

世界中から集めた珍品・標本・宝物・模型が所狭しと並んだ「半信半疑の地獄」と、“美しい標本はワンダーを刺激するアートになりうる”を体現した「生命の神殿」から構成された空間。自然の造形美を楽しむお店・ウサギノネドコの監修で、自然とアートを融合した作品たちとも出会うことができます。

以前に「ナンスカ」でご紹介させていただいた「文字が浮き出して見える不思議な鉱物「テレビ石」」も、実際に手にとって体験することができますよ。

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(写真撮影:ぷらいまり)

また、「生命の神殿」のライティングの美しい展示台は、「ナンスカ」で紹介させていただいた「NIGHT BOOK」を開発された株式会社ワイ・エス・エムが手掛けています。

《荒俣ワンダー秘宝館》 生命の神殿 photo by ぷらいまり
《荒俣ワンダー秘宝館》 生命の神殿(写真撮影:ぷらいまり)

「人間が作った標本の中で最も美しい」と荒俣宏さんを唸らせたという、冨田伊織さんによる様々な生き物たちの透明標本も必見です。(こちらは期間限定公開です。)

透明標本 / 冨田伊織 photo by ぷらいまり
透明標本 / 冨田伊織(写真撮影:ぷらいまり)

このほか、1Fにあるグランドギャラリーでは「荒俣宏の妖怪伏魔殿2020 YOKAI PANDEMONIUMも開催中。

1日楽しめる角川武蔵野ミュージアム。さまざまなカルチャーが混ざり合い、出会う空間を是非現地で楽しんでみてください。

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(写真撮影:ぷらいまり)

ミュージアム情報

角川武蔵野ミュージアム

公式サイト https://kadcul.com/

開館時間 10:00~18:00(最終入場 17:30)金・土曜のみ 10:00~21:00(最終入場 20:30)
※レストランのみ 11:00~22:00(LO 21:30)
休館日  毎月第1・第3・第5火曜日(祝日の場合は開館・翌日閉館)
所在地  〒359-0023 埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3
アクセス JR武蔵野線「東所沢」駅から徒歩約10分)
利用料金 展示・曜日によって異なる。詳しくはこちら

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WRITER PROFILE

ぷらいまり

都内でサラリーマンしながら現代アートを学び、美術館・芸術祭のボランティアガイドや、レポート執筆などをしています。年間250以上の各地の展覧会を巡り、オススメしたい展覧会・アート情報を発信。 https://note.com/plastic_girl

Twitter:@plastic_candy

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