いつもの「当たり前フィルター」を外して日常に目を凝らすと、そこは「発見」の宝庫。あえて少しだけ日常から踏み出すことで、一生知ることが無かったかもしれない「発見」と出会えることも。そんな「発見」が、あなたにとても大事な「化学反応」をもたらすかもしれません。
この記事では、あなたの「当たり前フィルター」が外れるきっかけになるかもしれない場所をご紹介していきたいと思います。今回ご紹介するのは、那須にある《水庭(みずにわ)》という庭園。
苔で覆われた地面、青々とした空の映り込むたくさんの池、その間に立つ背の高い木々。幻想的なこの空間は、自然の森のように見えながら、実は人工的につくられた庭園なんです。それでは、中に入ってみてみましょう。
綿密に計算された「自然」のような建築空間
庭園に入ると、木々の間に小さな池が配置されています。飛び石の上を進んでいくと、徐々に大きな池の間に木々が配置されたような空間へと景色が移っていきます。
池の中にはおたまじゃくしやアメンボが泳ぎ、足元の苔をはじめとした植物は青々とし、自分のまわりにはとんぼなどの昆虫も飛び回っています。池と池は地下の導水管でつながっていて、水が循環しているため、池なのにさらさらと心地よい水の音も聞こえて、五感で楽しめるような空間になっています。
この《水庭》は2018年の初夏に完成した、建築家・石上純也さんのデザインによる庭園です。
隣接する敷地の開発の際に伐採される予定だったコナラ、イヌシデ、ブナを中心にヤマザクラ、カエデなどなどの落葉樹318本を移植してつくられたという庭園。落葉樹なので、季節ごとに違った風景が楽しめます。
森のような”自然の風景”にも見えますが、それぞれの木が重ならないよう、一本ずつ木を撮影、寸法を計測し、正確な模型をつくった上で緻密につくられた庭なのだそうです。普通は池の近くでは木の根が腐ってしまい、このように池のすぐ横に木々が立つのは自然界では見られない風景なんですね。
それでも、たくさんの生物や植物に囲まれ、移ろいゆく日差しや、ゆらぐ水面、ときどき吹き抜ける風の中で感じられる「自然」の心地よさ。
「人間では、決してつくりだすことのできない自然の中で育まれつくり上げられた要素を、 人間の手によって、自然界には存在することのない関係性で再構成し、新たな自然を生み出す。(石上純也さんによるステートメントより)」という言葉のとおり、「新しい自然」を楽しめる場所なのかもしれません。
隣接する施設では スタジオ体験や目にも美味しい食事も
この《水庭》は、カフェやガラス・陶芸のスタジオなどを備えた宿泊施設「アートビオトープ」の中にあります。「水庭」は、宿泊者以外でも「水庭ツアー」や「レストランμでのランチ(orディナー)とのセット」で見学をすることができます。(要予約)
敷地内では、ガラス・陶芸のスタジオ体験を楽しむことができたり、建築家ユニット・アトリエ・ワンによってデザインされた「ホワイト・リムジン」でのマルシェを楽しむことができたり、カフェやショップでは武蔵野美術大学教授・新見隆氏の監修のランチメニューや、研究室をイメージしたインスタレーションが展開されていたりと、《水庭》以外の施設を楽しむことができます。
2020年7月26日(日)にオープンしたばかりの「レストランμ」では、「シードからテーブルまで」をテーマに、地元の食材を中心としたコースが展開されます。1皿1皿が絵画のようにアーティスティックで目にも美味しいコースです。
2020年10月2日(金)には、建築家・坂茂さんの手掛けた宿泊棟・スイートヴィラもオープン予定です。
人が多い場所が気になる今、オープンエアーの「新しい自然」の空間を楽しんでみるのはいかがでしょうか?
庭園情報
水庭(アートビオトープ内)
公式サイト https://www.artbiotop.jp/
住所 〒325-0303 栃木県那須郡那須町高久乙道上2294-3
■ 水庭ツアー(ポストカード・ブックレット付)
平日 14:00 / 15:00
土日・祝日 11:00 / 14:00 / 15:00
料金 2,700 (税別)
■ レストランμランチ+水庭自由見学
月・金・土日・祝日 12:00〜13:30
定休日 火・水・木
料金 7,000 (税サ別)
■ レストランμディナー+水庭自由見学
月・金・土日・祝日 18:00〜19:30
定休日 火・水・木
料金 14,000 (税サ別)