引っ越しをしよう。そう思って新しい部屋を探すとき、畳のある部屋はあえて避けてきました。畳の手入れは大変だし、掃除機を直接かけるのは畳が傷みそうでためらわれるからです。忙しい毎日を送るわたしにとって、「畳」はどんどん遠いものになっています。
この傾向は全国的にも顕著で、畳の原材料となる「い草」は消費が激減。い草生産量国内トップシェアを誇る熊本県も、い草農家の数は平成元年には約4500軒ありましたが、平成27年には500軒を切り、年々減少の一途をたどっているんだそう。その背景には、消費減のほかにも農業従事者の高齢化、後継ぎ問題などがあり、これは短期間で解決できる問題ではありません。
たしかに、最後に畳を触ったのはいつだろう。畳の広がった落ち着く部屋で、ゴロンと寝ころんだのはいつだろう。もしかしたら、私の次の世代などは、一生、畳のある家に住むことがないという人も出てくるかもしれません。
それでも、日本独自の文化である畳を、次の世代にもつなげていきたい。そう考え、奮闘し、そして生まれた企画プロジェクトが、松葉畳店「ZAKKA」です。今回は、畳を新しいカタチとして未来につないでいくプロダクトをご紹介します。
触れる機会の少なくなった畳を身近に感じてもらいたい。そんな思いがカタチになる。
い草を、畳としてだけでなく、い草の性質を最大限活かした雑貨というカタチにして提案するのが、「ZAKKA」というプロジェクト。その一部分を、ご紹介しましょう。
ZAKKA イ草香るブックカバー
い草は湿気を吸収するので、本を持つ手が汗をかいても、い草が吸収し、さらっとした手触りをキープしてくれます。い草の懐かしい香りで本を包むその開き部分には、畳の縁に使われる布「畳べり」を使用。畳べりを変えるだけで、ガラッと印象が変わるので、好みに合わせて選べるのもうれしいポイントですね。
ZAKKA イ草香るコースター
い草の湿気を吸収する、という効果を応用して作られたのがコースター。撥水加工もなされており、冷たい麦茶が入ったグラスが似合いそうです。これからの季節、すずしげなティータイムのお供にしたいですね。
ZAKKA イ草香る玄関マット
「ただいま!」と玄関を開けて、出迎えてくれる玄関マットにい草を使えば、家に帰ってすぐ、足の裏で畳を感じることができますよ。抗菌、消臭、調質の効果があるい草は、玄関の嫌なニオイを吸い取って、きれいな空気に浄化してくれます。
ZAKKA 畳べりのりぼん
畳を仕上げるうえで欠かせない「畳べり」。松葉畳店には、多彩なラインアップの畳べりが用意されています。その畳べりに注目した製品が、この「りぼん」。和柄から現代柄までそろえているので、浴衣や和装の時はもちろん、普段使いにもできますよ。
ZAKKA イ草香るお祝儀袋
最後に紹介したいのが、私もアッと驚かされた、お祝儀袋。和装ブームもあって、神前婚などにお呼ばれすることも1度や2度ではありません。お相手に合わせ、こんなお祝儀袋で華やかな未来をお祝いしてみては?
家族を中心とした少数精鋭チーム。ちいさな畳店がチャレンジする大きな使命。
松葉畳店は、昭和52年創業の小さな畳店。現在は店主である松葉榮さんとひさ江さん夫妻、そして2代目である三女の伊藤知美さんとその旦那さんである謙さんの4人で切り盛りしています。
2015年にはい草を使った雑貨店を併設。今回とりあげた「ZAKKA」を含め、畳のよさを次の世代につなげていくために奮闘中です。
「ZAKKA」を立ち上げ、企画設計をするのは2代目である伊藤知美さん。建設会社、靴メーカー、不動産会社への勤務を経て、父・榮さんの営んできた畳屋をなくしたくない、畳の良さを若い世代にももっと知ってもらいたいと考え、転職。
結果、い草雑貨は話題を呼び、現在は県内外の百貨店、雑貨店でも取り扱いがあり、メディアにも多く取り上げられるようになりました。
畳は、たしかに減少の一途をたどっているかもしれません。ですが、その実状を嘆くだけではなく、畳の新たなカタチを模索し、次の世代につなげていこうという強い姿勢が呼び込んだ、畳の未来を担うという大きな使命。
今後も、新たな畳のカタチが多く生み出されることと思います。再度、「やっぱり畳はいいね」と思えるプロダクト、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
商品情報
ブランド名 ZAKKA
販売元 松葉畳店
公式サイト https://www.matsubatatamiten.jp/
ブックカバー販売ページ https://creativecanvas.jp/store/items/p00003583/