みなさんは「邦楽」と聞いて、どんな音楽をイメージしますか?
米津玄師さんの「Lemon」や嵐の「Love so sweet.」など、日本のヒットソングを想像する人が多いのではないでしょうか。
もちろん、これらの曲も、広い意味で邦楽のジャンルに入ってきます。それと同時に、少し違った意味合いも邦楽は持っているんです。
今回は、そんな日本伝統の邦楽について紹介していきます。
「邦楽」が意味するもの
邦楽は、広い意味で日本人が作った音楽を指しています。アメリカやヨーロッパのヒットソングを「洋楽」というのに対して使用されている意味です。CDの売上ランキングで、「洋楽ランキング」に続いて「邦楽ランキング」などが紹介されるのを見たことがある人もいるのではないでしょうか。
一方、邦楽は、もともとは日本伝統の、古来から受け継がれている音楽を指す言葉でした。それが、J-POPやジャパニーズ・ロックなど、日本人によるポピュラー音楽が広まってきたことを受け、広い意味での邦楽が一般的に受け入れられるようになっています。
現在では、日本伝統の邦楽については「純邦楽」と表記されることもしばしばです。そんな日本伝統の邦楽ですが、いったいどのような音楽なのでしょうか。
日本伝統の「邦楽」の種類
日本では、クラシックやポップスなどの西洋音楽が入ってくる以前から、さまざまな音楽が親しまれてきました。その一例をかいつまんで紹介するだけでも、下記のような種類があります。
雅楽
能楽
仏教音楽
浄瑠璃
唄もの
民謡
吟詠
器楽
代表的な邦楽が、「雅楽(ががく)」です。主に宮中で演奏されてきた音楽で、笙(しょう)や篳篥(ひちりき)などの伝統的な器楽を使って奏でられます。
最近では、令和天皇の即位に伴う式典が多かったため、知らないうちに耳にしていた人もいるでしょう。
そのほか、能の舞台で演じられる「能楽(のうがく)」、浄瑠璃(じょうるり)で伴奏される音楽も日本古来からの邦楽です。
こうして見ていると、宮中や能舞台といった限定された場所でしか流れない音楽のようにみえますが、そうでもありません。
例えば、お正月。少し古めいたお琴の音色を聞いたことはありませんか?よくお正月のBGMとして流れている楽曲は、「春の海」といって、琴と尺八の合奏曲なんです。
琴(正しくは「筝」と書き、そうと読みます)や尺八、三味線を使った合奏曲は、「三曲」と呼ばれ、江戸時代を中心に爆発的に民衆に広まりました。そのため、現在においても、演奏や音色が広く親しまれています。
日本伝統の「邦楽」では、楽譜も純日本風?
日本伝統の邦楽では、楽譜も日本風です。みなさんは、小学校で「ドレミファソラシド」を習いましたよね?あれは、西洋音楽の音階です。ギターなど弦楽器をやっていたひとは「ABCDEEG」のほうが親しみが強いかもしれません。
一方、邦楽の音階は異なります。たとえば尺八では、「ロツレチハ」というカタカナで楽譜が書かれています。しかも、縦書き(笑)。はじめて尺八の楽譜を見た方は、たいてい「お経かなにか?」と感じるようです。
西洋音階と邦楽の音階の大きな違いは、その基本的な音階の数の違いです。西洋音楽は「ドレミファソラシド」という7つの音階が特徴的ですが、尺八では「ロツレチハ」という5つの音階を用います。
けれど、現在では尺八でもキーを合わせるときにはチューナーを使ったりします。良い技術は積極的に取り入れていくところが、日本的ですよね。
現在では、教科書にも載っている「邦楽」
この「邦楽」、実は今では教科書でも取り扱っています。
1998年に、文部科学省では学習指導要領を改訂し、2002年度から中学校の授業で和楽器を教えることを義務化しています。また、小学校では、日本の音楽、和楽器を積極的に教材として扱うことを指導目標に取り入れたんです。
今年が2019年ですので、おおよそ20年前くらい。今でだいたい30歳前半くらいの年齢より若い人にとっては、日本伝統の邦楽についても、記憶の片隅にはあるでしょう。ただ、それ以上の年代の人にとっては、なじみの薄い音楽かもしれません。
普段、年齢不詳でとおしているアラフォーの女性にとって、思わぬところで年齢がばれてしまうかもしれないのでご注意を!