「さぁ、今日はいよいよ千秋楽です!」
日も暮れはじめた夕方、何気なくつけたテレビ。NHKの相撲中継でこの「千秋楽」という言葉を聞いたことはありませんか?
「聞いたことある!」という人もいれば、「あまり聞いたことないし、意味もわからない…」という人もいると思います。
今回は、そんな「千秋楽」をご紹介します!「千秋楽」にちなんだトリビアや語源も紹介するので、楽しんで読み進めてくださいね!
千秋楽とは?まずは意味をおさらい!
知っている人もいれば、知らない人も意外と多い「千秋楽」。知らない人のためにもまずは「千秋楽」の意味をおさらいしましょう。
千秋楽(せんしゅうらく)
①芝居・相撲などの興行の最後の日。
②物事の最後。終わり引用元:コトバンク『デジタル大辞泉』より
そう、「千秋楽」とは芝居や相撲の最終日のことを意味しています。その意味が転じて、何かの物事が終わる最後のときや、そのまま「終わり」と同じ意味で使用したりもしますよね!
この「千秋楽」、今でもさまざまな場面で使われています。どんなところで使われているのか、具体的に見ていきましょう!
「千秋楽」はどんな場面で使う?それぞれのトリビアと一緒に紹介!
「千秋楽」を使う場面には、歴史のある相撲や歌舞伎があります。さらに、現代の演劇やライブ・コンサートで使われることも。いわゆる「興行」といわれている芸能・催しが多いです。
相撲の「千秋楽」
代表的なのが、相撲の「千秋楽」です。相撲の千秋楽は15日ある日程のうちの15日目、いわゆる最終日です。
相撲の千秋楽では、「これより三役」という特別のしきたりがあります。この三役とは「大関・関脇・小結」のことで、通常淡々と進んでいく相撲の取組のなか、「三役そろい踏み」といわれる特別の所作(しょさ)をおこないます。
相撲では、最終日である「千秋楽」を特別な日として扱っているんですね!
歌舞伎の「千秋楽」
相撲とならび古い歴史をもつ歌舞伎でも、その興行の最終日を「千秋楽」と呼んでいます。
歌舞伎の「千秋楽」では、時に役者のふざけや冗談がゆるされる「そそり」という文化があります。芝居を壊さない範囲でしゃれやいたずらをするんです。また、男性の役と女形の役を入れ替える「天地会」というしゃれた遊びもあるそうです。
演劇の「千秋楽」
演劇の「千秋楽」ももちろん公演の最終日。
演劇の公演では、日が進むごとに微妙に表現が変わっていくことが有名です。とくに「千秋楽」では、千秋楽限定のセリフや演出が演じられたり、サプライズゲストが登場したりと力が入っています。
演劇の「千秋楽」は一連の日程のなかでも人気の公演日で、ときにプレミア化するぐらいすぐにチケットが売れてしまうんです。
ライブ・コンサートの「千秋楽」
最近ではアイドルのライブやクラシックのコンサートでも、最終日を「千秋楽」ということが多いですよね。
人気グループの場合、スケジュールの関係で「千秋楽」の後もすぐに移動、ということもあります。
しかし、駆け出しのアイドルや若手のアーティストの場合は、ライブ・コンサート後にお客さんを直接送りだす「客だし」や「ファンイベント」をおこなうことも多いようです。
いつ頃から使われるようになったの?
さて、現在でもさまざまな場面で使われる「千秋楽」ですが、いったいいつ頃から使われるようになったのでしょうか?
「千秋楽」の起源には諸説あり、確定した説はまだないようです。ただし、江戸時代には相撲や歌舞伎の興行で広く使われていました。
相撲と歌舞伎は「庶民の娯楽」といわれるほど、江戸時代の人にとって生活の楽しみでした。その頃から、「千秋楽」という言葉は生活の一部になっていたのですね。
「千秋楽」の語源を知りたい!
最後に、「千秋楽」の語源を紹介してまとめたいと思います。
語源にもいくつかの説があります。一つめが、雅楽の「千秋楽」からきているという説です。雅楽会の一日の最後に「千秋楽」という曲をよく演じていたことから、最後=「千秋楽」というイメージがつき、最終日を「千秋楽」というようになったそうです。
二つめは、謡曲「高砂」からきているという説です。高砂のキリの句には「千秋楽は民を撫(な)で、万歳楽には命を延ぶ~」という一節があり、そこから転じたともいわれています。
ほかにも、「秋」を「終」、「楽」を「落」という文字に当てることから、「終わりの日」という意味に転じたという説もあります。
このように、さまざまな出自が語られるほどに私たちの生活と近くにあった「千秋楽」。物事の終わりには「終わってしまう…」という寂しさも感じますが、「千秋楽」について調べていると「終わりだからこそ、楽しんでしまえ!」という前向きなパワーを感じます。
終わりを意識するよりも、楽しんでしまう、祝ってしまうというポジティブな意識は見習いたいですね!