「芸人一枚岩になって会社と闘う」
闇営業問題で荒れてしまった吉本興業。この言葉は、「極楽とんぼ」の加藤浩次さんが闇営業問題に絡んで発言した言葉です。
今回とりあげるのは、この「一枚岩」という言葉。
なんとなくニュアンスは伝わってくるので日常ではあまり意識しないんですが、「じゃぁ、厳密にはどういう意味なの?」と聞かれると「?」となる部分もありますよね。
「一枚岩」の意味や語源、由来、そして「一枚岩」にまつわる話について、掘り下げていきたいと思います。
「一枚岩」ってどういう意味?語源や由来は?
まず、「一枚岩」の正確な意味について見てみましょう。
「一枚岩」:1枚の板のように平らで大きな岩。また、そのように、組織などがしっかりとまとまっていることのたとえ。「一枚岩の結束を誇る」
引用元:コトバンク『デジタル大辞泉』より
もともと、「一枚岩」はその名のとおり1枚の板のような大きな岩のことを指しています。和歌山県には「古座川の一枚岩」という大きな岩があって、国指定の天然記念物になっているそう。
そのような硬くまとまっている岩のイメージから転じて、組織などがしっかりとまとまっている様子を表すようになっています。
冒頭の加藤浩次さんの言葉もこちらの意味が込められていますよね。芸人が「一枚岩」のようにしっかりまとまって、吉本興業と闘っていこうという意志が感じられますよね。
「一枚岩」を英語に訳すとどうなる?
「一枚岩」の英訳は「モノリス」です。
「モノリス」と聞くと、映画「2001年宇宙の旅」のモノリスを思い浮かべませんか?もしくは、「エヴァンゲリオン」に登場する石碑のようなモノリスをイメージされるでしょうか。
どちらの「モノリス」も平たく長方形の「一枚岩」のかたちをした存在です。無機物な「岩」だけに、少し冷たい印象をうけるのも共通していますね。
お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、英語の「モノリス」にはその名のとおり、一枚岩という意味が通常です。日本語のように「まとまる」という意味合いは薄いんですね。
日本語は英語圏の人にとってかなり難しいと言われていますが、こういった派生語、派生した意味が多分にあることが理由にあるのかもしれません。何と言っても、使っている私たち日本人にも難しいことがあるのですから…。
ちなみに、「一枚岩」から「エアーズロック」を想像する人もいらっしゃると思いますが、実は「エアーズロック」以上に大きな一枚岩があるって知っていますか?
世界最大の一枚岩はエアーズロックではない?
オーストラリアの有名な観光地「エアーズロック」。太陽光のあたる角度によってその姿はさまざまな色に変化し、朝夕には鮮明な赤に染まるその姿は、とても神秘的です。
実は「エアーズロック」は世界で2番目の一枚岩で、同じオーストラリアには世界で1番目の一枚岩があります。名前は「マウントオーガスタス」。
高さ335mのエアーズロックに対し、マウントオーガスタスの高さはなんと858m!エアーズロックの2.5倍の大きさを誇ります。
大きさではマウントオーガスタスより小さなエアーズロックですが、マウントオーガスタスよりも有名となったのは、観光地としての環境や立地の良さにあるそうです。
エアーズロックは、最寄りの空港から車で30分ほど。周囲にはエアーズロックリゾートと呼ばれる観光地が整備されています。一方、マウントオーガスタスは近くの都市から490kmほどの距離があり、周囲にもあまり観光資源がない。
このことから、エアーズロックが観光地として有名となっているそうです。
エアーズロックはどうして「ウルル」と呼ばれるの?
エアーズロックのことを、最近では「ウルル」と呼ぶのを耳にしませんか?
私自身は「エアーズロック」で憶えていたので、少し違和感があります。ですが、これはどちらも同じ一枚岩のことを指しています。
「エアーズロック」は、1873年イギリスの探検家が、当時の南オーストラリア植民地首相ヘンリーエアーズにちなんでつけた呼称です。
オーストラリアは、現在でも国旗にイギリスの名残りがあるように、もともとイギリスの植民地でした。イギリスが来る前から住んでいたのが、先住民族アボリジニです。
アボリジニは「エアーズロック」のことを「ウルル」と呼んでいました。さまざまな色を見せてくれる「エアーズロック」を神秘的な存在として大切に扱っていました。
この「エアーズロック」とともにアボリジニの文化が世界遺産に登録されたことを記念し、「ウルル」を正式名称に採用されるようになったのです。
今後は「ウルル」の方が使用される頻度が高まっていくので、この機会に覚えておくと便利ですよ!