みんなで乾杯して、盛り上がって、会話もはずんでいる飲み会や結婚式。会が終わりに近くなると、
「そろそろ宴もたけなわですが…」
という言葉をよく聞きますよね?
この言葉を聞くと「あー、そろそろ飲み会も終わりか~」なんて気持ちになるものですが、そもそも「宴もたけなわ」ってどういう意味なんでしょう。
聞かれてみると、言葉に詰まってしまうんですよね。そこで今回は「宴もたけなわ」の意味や使うタイミングなどについて調べてみました。
「宴もたけなわ」の意味
「宴もたけなわ」という言葉の意味は、辞書ではこう書かれています。
宴もたけなわ:酒宴の席がいちばん盛り上がっている段階。酒宴の盛り上がりが衰える前の段階。
引用元:weblio辞書『実用日本語表現辞典』より
飲み会などで会話が弾み、出席者のテンションも最高潮に達する、そんな状態のことですね。
「宴もたけなわ」の「たけなわ」という言葉は、漢字で書くと「酣」といい、「酒」が「甘」くなる、つまりお酒の発酵がすすむとともにお酒が甘くなって飲み頃になるさまを表しています。
「たけなわ=酣」は古くから用いられてきた
「たけなわ=酣」という言葉は古くから使われている言葉で、最古の正史書といわれる日本書紀にも記載されています。
書紀(720)神武即位前(北野本訓)
酒酣(タケナハ)の後に、吾は則ち、起きて歌はむ
引用元:コトバンク『精選版 日本国語大辞典』より
日本書紀と言えば、西暦720年に書かれた古い書物。「たけなわ=酣」はそんな昔から使われていたんですね。
「たけなわ=酣」は日本だけでなく、中国でも『韓非子』など古くから使われていて、現在でも用いられています。
酒酣 状態詞 日本語訳 出来あがる,でき上がる,酒を十分に飲んですっかり酔う
引用元:weblio日中・中日辞典
「酒酣」は上記のようにお酒を飲んですっかり酔っ払い、気持ちが良くなっている様子を指す中国語です。中国語の成語では「酒酣耳熱」という言葉もあり、お酒を飲んで耳まで赤くなり、すっかり快適になっている様子を表しています。
さらには日本酒の名前までにも。「酣楽酒」という純米大吟醸酒もあります。「たけなわ=酣」という言葉が古くから広くお酒を親しむ文化のなかでもちいられてきたことがわかります。
「宴もたけなわ」を使うタイミング
ここまでご紹介してきたように、「たけなわ」とはお酒に十分に酔っぱらって飲み会の最高潮に達しているさまをあらわしています。同時に、飲み会の盛り上がりが徐々におさまっていく一歩手前の状態でもあります。
飲み会は気持ちよく終わりたいもの。このようなことから、「宴もたけなわですが…」という言葉は、「飲み会も最高潮になってきましたが…」と参加者が気持ちよく終われるときを見計らって、会の終わりを告げるときに使用する言葉となっているようです。
「飲み会のピークなんてわからないよ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。あくまで「宴もたけなわですが…」という言葉は飲み会の終わりを告げる言葉なので、飲み会が終了する10~15分くらい前に締めの一言として用いるとよいでしょう。
「宴もたけなわですが…」は飲み会で盛り上がっている人にも悪い思いをしないよう、会の終わりを告げる心遣いの込められた言葉です。会社の飲み会などでは締めの定型文ともいえる言葉なので、ぜひ覚えておいてくださいね!
「宴もたけなわ」を使った例文
ここからは、「宴もたけなわ」を使った例文をご紹介していきます。会社での飲み会の幹事をまかされたり、接待先との食事会の締めの言葉としてもつかえます。
「宴もたけなわで恐縮ですが…」
締めのあいさつのお決まりですね。「宴もたけなわで恐縮ですが、本日はお開きとなります。」など、「恐縮です」という言葉を入れることで、目上の人がいる場でも失礼のないよう気配りをみせることができます。
「宴もたけなわではございますが、時間の都合上…」
「時間の都合上」という言葉を入れるのもよくある定型文です。「まだまだ会を続けたいのだけど、もう時間がせまっていて…」という気持ちを入れることで、まだまだ飲み足りない方へも配慮することができます。
上記のような言葉のあとに、「本日はお忙しいなかお集りいただき、ほんとうにありがとうございました。」など感謝の言葉をつづけるとさらにポイントアップ。締めのあいさつは定型化されているものも多いので、先輩が幹事をされているときなどにどうやって締めるのかをチェックしておくといざ自分に順番がまわってきたときに役に立ちますよ!