体調の変化に敏感になりがちな昨今、改めて毎日食べるもののことを意識し始めたという人も多いですよね。
今回は、ちょっとユニークな生産者のチームをご紹介します。
千葉県一宮町で、季節の野菜や果物を栽培している「THE Farmer's(以下:ファーマーズ)」は、兼業農家たちによって運営される農園です。
メンバーの共通点は、サーフィンと海を愛しているところ!海?農業で?
サーフィン好きの彼らが、どうして陸の上で農業を始めたのか、何を目指しているのか、ちょっと気になりませんか?
海が好きだから、農業について考える
農薬・化学肥料不使用で、季節に合わせた野菜や果物を栽培している「ファーマーズ」がスタートしたきっかけは、大きく2つありました。
1つは、オーストラリアのバイロンベイでの生活。
コロナウイルスの流行前、代表を務める森山さんは、毎年冬になると3か月ほどバイロンベイにサーフボードを削る職人のサポーターとして働きに行っていたそうです。
バイロンベイは、オーガニックのカフェやスーパーが多く、住民の食材の意識も高い街で、森山さんも滞在する中で食や環境に対する意識に大きく影響を受けたと言います。
なかでも、ある農夫から聞いた『綺麗な海を維持するためには土壌が大切である』という話は、海を愛する彼の心を農業へ向かわせるきっかけになりました。
もう1つは、コロナウイルスの大流行。
世界の人々が、改めて健康や暮らしの在り方に強く意識を向けた時代に、「ファーマーズ」は食の安全と環境問題を考えた農業をスタートしました。
大好きな海と大好きな人たち、そして未来のために。
そこで、「ファーマーズ」が目指したのが循環型農園です。
植物性堆肥や作物は大きな循環の中で作られる
循環型農業とは、生ゴミなどから堆肥を作り、その堆肥を使って育てた農作物を食べ、その際に出た残りカスを床材に混ぜたり、再び肥料の材料にすることで、資源が無駄なく
1つの輪のようにぐるぐると循環しながら活用されるといった農業のカタチです。
そのための取り組みとして「ファーマーズ」では、自分たちで作った植物性堆肥を利用した栽培を行っています。
堆肥の材料となるのは、「ファーマーズ」を支援している企業の廃棄物。
通常であれば焼却処分されるようなジュース屋さんから出る野菜や果物の搾りかすや、花屋さんで廃棄されてしまうお花などを、肥料に生まれ変わらせることで、野菜のエネルギーに循環させています。
企業や業界を越えて、資源を無駄なく循環させることで、処分にかかる経費や燃料、排出されるCO2も削減することもできるんです。
サステナィブルタウンの拠点として
「ファーマーズ」はさらに大きなビジョンとして、循環型農園として地域に根差し、千葉県長生郡一宮町をサスティナブルタウン化することも掲げています。
土いじりや農園に興味のある人は出来る限り受け入れて、季節に応じた農業体験やレンタル農園なども積極的に企画。
さらに、コンポストステーションを設置することで、一般家庭では臭いの原因にもなる生ごみを回収し、堆肥のもとに変えながら、地域の人たちに堆肥の重要性や循環型社会について知ってもらうきっかけにもなっています。
また、町内には保存食のことをよく知る経験豊富な年配者が多いことを活かし、風土に合った加工技術や知識を受け継ぎながら、食品ロスを減らすための加工品開発も検討するなど、今後の展開が楽しみな農園です。
農業や環境、資源について興味を持ってもらう場としてだけでなく、世代を超えた交流の場としても、循環型農園は必要とされているのかもしれません。
農園情報
農園名 THE Farmer’s(ザ ファーマーズ)
公式サイト https://thefarmers138.com/