私は浮世絵の企画展があれば足を運び、スマホケースも浮世絵にするほど浮世絵が好きなのですが、今回はかなりユニークな現代浮世絵が魅力的なうちわ「スポーツ京うちわ」をご紹介します。
見た目は美しい浮世絵が書かれたうちわですが、よくみると描かれているのは、サーフィン?ラグビー?…ス、スケボー??
そう!この浮世絵のテーマはスポーツ!
しかも、浮世絵が描かれていた江戸時代前後の日本にはまだ無い競技がメインなんです!
「そもそもどうしてこんなうちわが生まれたの?」なんて疑問も紐解きながらご紹介していきますね。
くすりと笑える愛らしさが魅力の「スポーツ京うちわ」
見たことあるような浮世絵…だけど、あれ、波に乗っちゃってる!?
思わず目を凝らしてみてしまうユーモアあふれるこのうちわは、うちわの老舗・小丸屋が、職人の技術を用いて“もし現代のスポーツが江戸時代にあったらという思いをめぐらせ、思わず、くすりと笑みが溢れ、和むような京うちわ”というコンセプトのもとに作った「スポーツ京うちわ」です。
お題:「もしも江戸時代にサーフィン競技があったら」
まるで大喜利のような設定ですが、職人たちが真剣に想像を膨らませ、制作をしたのがこちらです。
浮世絵でもトップクラスに知名度の高い葛飾北斎『富嶽三十六景』の『神奈川沖浪裏』をモチーフにした背景に、ふんどし姿の兄ちゃんが、颯爽と波を乗りこなしている姿はなんともシュール。
一方で、繊細な筆遣いや、波の荒々しさを引き立てるように散りばめられた金箔には高級感が溢れ、絵のポップさと品質の高さのバランスが、シュールさをより強めています。
誕生のきっかけはオリンピック!?
こんなシュールで愛おしい「スポーツ京うちわ」が生まれるきっかけとなったのは、まだ記憶にも新しい東京オリンピックでした。
世界中の人に日本文化を知ってもらえるアイテムのひとつとして、伝統的な手仕事で作られるうちわに、海外からの人気も高い浮世絵のタッチでスポーツシーンを茶目っ気たっぷりに描いた京うちわが誕生しました。
残念ながら様々な事情でグッズ化はされませんでしたが、個性的なデザインと職人の確かな伝統技術がユーモアたっぷりにマッチしたうちわは、「ぜひ販売するべき」との声も多く、数量限定での商品化が決定。
結果的に、このユーモアあふれる「スポーツ京うちわ」がきっかけとなり、広く京うちわの存在や職人の技術は注目を集めることとなりました。
絵柄は、スケートボード、サーフィン、ラグビー、ウェイトリフティング、球技各種の全5種類。
和服姿で現代的なスポーツに興じる姿には、かっこよさも感じられませんか?
千年以上京都の文化を支えてきた『小丸屋住井』
「スポーツ京うちわ」を手掛けたのは、京都の老舗、株式会社小丸屋住井。
寛永元年(1624年)創業ですが、歴史はさらにさかのぼり、かつて公家であった住井家が1570年に時の帝から命を受け、「深草うちわ」を確立したことに始まります。
代々受け継がれ、江戸時代にはすでに全国に名を馳せるほど有名になっていたというから歴史の長さに驚きますよね。
丸亀うちわや岐阜うちわなども、ルーツを辿ると住井家なのだそうですよ。
また、京都五花街の芸妓や舞妓さんが、夏の挨拶にお得意先へ名前入りのうちわを配るという文化を長年支えている「京丸うちわ」も小丸屋さんが作っています。
さらに舞台用の小道具を手掛けているだけでなく、舞扇のデザインやお客様のご相談の対応も行うなど、まさに京都を中心に日本の伝統文化を代々支え続けてきた存在と言えます。
大人の遊びゴゴロってかっこいい!
小丸屋では、高い技術を持つ職人さんたちが、骨となる竹の検品、骨に地紙を貼る「貼り」、紙を刷毛でなでて糊をなじませる「撫ぜ」、扇面を丸く整える「うちきり」、骨に沿って地紙に筋を入れる「筋入れ」など数々の丁寧な工程を経て1本のうちわを作っています。
だからこそ、このユーモアたっぷりの絵が生き生きと感じられ、身近で親しみを感じるアイテムになるんだと思います。
大人の本気の仕事に散りばめられた、粋でお茶目な遊びゴゴロ。
根詰めがちなあなたの心にも、軽やかな風を運んでくれるかもしれません。
商品情報
商品名 スポーツ京うちわ
販売元 株式会社小丸屋住井
公式サイト https://komaruya.official.ec/blog/2021/08/20/100000