あなたは「野宿」をしたことがありますか?
昨今のアウトドアブームで、キャンプを楽しんだ人は多いと思いますが、最近のキャンプ用品はコンパクトで高機能なので、きっと快適に楽しむことが出来たのではないでしょうか?
しかし今回ご紹介するのは、機能性やおしゃれとは一線を画したよりシンプルな野宿を愛し、楽しむ人たち、その名も「野宿野郎」です。
必要なのは寝袋とマット。テントも、調理器具も、椅子や飾りもいりません。
ポジティブに野宿を楽しむ「野宿野郎」たちの世界を、ちょっと覗いてみませんか?
「野宿」ってなんだろう?
野宿という言葉の意味を調べると
野外で寝泊まりすること。
goo辞書より
と出てきます。
じゃあ野宿のイメージはというと、アウトドアのベテランがたどり着く境地や、サバイバル、はたまた一文無しのような、過酷なものだったりしませんか?
でも、よくよく考えてみれば、酔っぱらって道端やホームで寝てしまっていたり、終電を逃して公園の遊具に寝転んで朝を迎えたり…。
どこかで見かけたり、体験したりしたこともあるこれらの行為も、立派な野宿ということになりますよね。
とはいえこれらのケースは、うっかりとか、仕方なく、したくてしたわけではない野宿。いわゆる消極的な野宿といえます。
ところが「野宿野郎」が行うのは、野宿をすることを目的とした積極的野宿です。
彼らにとって野宿はあくまで睡眠のひとつの選択肢で、ホテルを選ぶように、野宿する場所を厳選し、野宿を楽しみます。
好きな時に、好きな時間に、好きな場所で。予約もお金も必要ない。
ワクワクして、ちょっとだけスリリングな遊び方としての野宿がここにあります。
「野宿野郎」 -人生をより低迷させる旅コミ誌-
「野宿野郎」というワードを生み出したのは、自身も野宿を愛してやまない、かとうちあきさん。
彼女の野宿デビューは、なんと高校生!
しかも人生初となる野宿は道端の側溝というから、最初からガンガンに攻めている野宿猛者です。
その後も野宿をしながら日本縦断を行うなど、現在に至るまで野宿をライフワークの一部として楽しんでいます。
ちなみに、今のところ最も快適な野宿場所はトイレなのだとか。(!?)
そんな野宿歴の長い彼女が編集長(仮)をつとめたのが、全国の野宿を愛する野宿野郎のエピソードや活動レポートを掲載した「野宿野郎」という不定期発行の雑誌です。
現在7号まで出版されていて、電子書籍化もされています。
出版活動の他にも、野宿を中心としたイベントや、グッズ販売、ネットショップ等、広く展開しています。
なかでも、6月19日と9月19日を『のじゅくの日』とし、2005年から毎年『のじゅくの日』に野宿を行うというお祭り的イベントがユニークです。
ちなみに6も9も、それぞれ90度回転させるとひらがなの「の」に見えることから『のじゅく(19)の日』 なのだとか。
お店ではありません!「お店のようなもの」
定期的に開催される野宿活動のかたわら、居酒屋のようでもありながら、雑貨やコーヒー豆も売り、トークショーやワークショップ、ごはん会が行われる「お店のようなもの」をオープンし、集いの場所になっています。
現在は「お店のようなもの 2号店」が横浜にあります。ただし、営業は不定期。
お店の張り紙や、SNSなどで営業日を知るという、ゆるさ。
“約束厳守!”“有言実行!”が暗黙の了解のごとく当たり前に存在している現代社会では非常にレアなスタンスで、心地よさすら覚えます。
野宿、してみる?
実はわたしも学生の頃、友人たちと公園で夜を明かしたことがあります。
普段はどんよりとした空気が立ち込めるような都会の真ん中でも、どういうわけか朝はちょっと清々しさを感じてしまう独特の雰囲気があるんですよね。
室内にいると決して感じられない、まるで「街と一緒に起きる」ような感覚。
眩しくて、ちょっと肌寒くて、夜の賑わいも無かったかのようにさっぱりリセットされるような外の朝。
あれは、案外いいもんだと思っています。
とはいえ、まだまだ未知なる野宿の世界。
思い切って挑戦してみるも良し、まずは「野宿野郎」を読んでみるも良し。
意外とハマってしまうかもしれませんよ?