今では日常的に使用する「土壇場」という言葉。ギリギリの場面に立たされたときや、進退のかかった決断が必要な場面で使用する言葉です。
しかし、江戸時代には死刑を執行する刑場が「土壇場」と呼ばれていたのだとか。確かに、刑が執行される直前のギリギリの場面であるということから意味が転じたというのは想像できますね。。。
今回は「土壇場」の由来と、使い方、そして「土壇場」にまつわる名言をご紹介します。
土壇場の語源は「江戸時代の刑場」が関連していた!?
土壇場という文字の通りなのですが、直接的には「土を盛って築いた壇」の場所を意味しています。これは江戸時代には、斬罪の刑を執行するときに罪人を土壇場に横たわらせていたため、斬首刑の刑場のことを意味していました。
刑場とは、今でも死刑執行の場所などの意味合いを持ちますが、土壇場という言葉の意味は時代とともに変化し、現在では「どうにもならない場面や、緊迫した決断が必要な場面」という意味合いで使用されるようになりました。
「土壇場」の正しい用法は?
土壇場という言葉、多くの人が一度は聞いたことのある語彙だと思いますが、正しい使い方をご存知でしょうか。ここでは、例文を挙げながら、使い方を学んでみましょう。
よく使うのが「土壇場に立たされる」でしょうか。どうしようもないギリギリの場面に立たされるという意味合いです。言葉の由来を考えると、土壇場に立たされるとは、刑場に立たされるということを示し、この意味を持つのも理解できます。
他にも、「土壇場で力を発揮する」、「土壇場に来ておじけづく」などの使い方ができます。いずれもどうしようもない場面、ギリギリの場面などの言葉に置き換えても通じるもので、置き換えてみるとよりクリアに意味がわかります。
類語として挙げられるのは「土俵際」、「瀬戸際」など、どれも「ギリギリ」を表す言葉です。
ドタキャンは土壇場のキャンセル
土壇場という言葉よりも、「ドタキャン」のほうがよく使用するかもしれません。これは、ギリギリでキャンセルする、ギリギリのキャンセルという意味合いから「土壇場のキャンセル」の略です。「ドタバタキャンセル」の略だと思っていた方はいらっしゃいませんか?
意味合いとして間違ってはいませんが、正しくは、「ドタ」の元になっているのは土壇場です。
もともとは芸能界や放送業界、旅行業界などで用いられていた業界用語でした。スタッフが苦労してお膳立てを整え、主人公を待っているだけという場面で、肝心の主人公がとんでもないような理由でキャンセルをするというような状況から、「ドタキャン」という言葉は生まれました。
一般に広く使用されるようになったのは1990年ごろからだと言われています。
土壇場名言集
土壇場にまつわる名言があるか調べてみましたので、ご紹介します!
「土壇場を乗り切るのに必要なのは勇猛ではなく、冷静な計算の上に立った捨て身の精神」
野球監督として活躍した野村克也さんの名言です。
たしかに、土壇場の状況に立たされると、焦ってジタバタしてしまうことが多いですが、冷静さを忘れずいることのほうがずっと大切ですね。
「人間は土壇場になったら強くなる」
サッカー日本代表の監督としても活躍した岡田武史さんの言葉です。さらに、「本当に人間って強いもんですよ。でも、大体みんな、その前に諦める。諦めないで頑張ってたら、人間には底力ってあるもんです」と続きます。
ギリギリの状況に立たされた時、焦ってなんとか取り組もう、やってやろうとするなら良いのですが、諦めてしまうことも多いかもしれません。もう無理かもしれない、と思う土壇場の状況からの一歩が出せるかどうかは大きな違いなのでしょうね。
名言から学ぶ「土壇場」の切り抜け方
筆者もまさに、土壇場の状況になると諦めたくなりがち。なんとか取り組めないか、と考えて挑戦してみるのも重要なことだと感じさせられます。さきほど紹介したおふたりの名言には「確かに、おっしゃるとおり」という言葉しか出てこない、力がありますね。
それだけの活躍をされたからこそ言葉に力がこもっているのだと思いますが、せめて自分も、冷静に、そしてもう少し粘ろうと思いました。