虫を食するなんて、気持ち悪くて無理、ムリ!
そうおっしゃる向きのなんて多いこと。確かに虫を食するなんてゲテモノ喰い扱いされかねませんけれど。
でももうそろそろ、本腰を入れて取り組まないといけないところに食糧危機問題は来ているのです。2030年には地球の全人口は90億人を突破して、深厚な食糧危機時代に突入するというのですから。地球温暖化に加えて新型コロナウイルスの世界的な蔓延、こうも不安な出来事が続くと、にわかに作り話でしょ?とは言えないと思うのです。
今回は真剣に昆虫食を考えるなら、まずはここから、というプロダクトをご紹介します。バグズファームの虫糞茶(むしふんちゃ)です。
お話を伺ったのはバグズファームを創立当時から支える株式会社RON(アールオーエヌ)の辻 均晃(つじ ひろあき)さんです。
昆虫食の先駆け、バグズファームについて
昆虫食が脚光を浴びだしたのは2013年のこと。この年、FAO(国連食糧農業機関)が人口の増加にともなう食糧問題に対して、昆虫を食することが有効な方法のひとつとして提唱したことがきっかけです。
バグズファームはこの提唱を受けて、いち早く昆虫食の取り扱いに着手しました。この提唱を商機とみて、この世界での先駆けとなるべく乗り出したのです。
生産事業の失敗が取引先を厳選する目を養った
先駆けとしてまず乗り出したのは、食用コオロギの自社生産。当時すでに国内でもいくつかコオロギの養殖を行っていましたが、それはほとんどが人の食用目的ではありませんでした。それでも、養殖技術の習得のために国内の生産場を見学し、実際にコオロギの生産を行ってみます。
コオロギの養殖は意外に難しく、思うように量産することができません。さらに苦労して商品化を目指した割には販売数も確保できないという失敗を経験します。
しかしこの経験は、昆虫食を手掛けることへの挫折にはつながりませんでした。むしろ社の方針を転換する好機となり、昆虫食の生産業者から、卸業者へと転向。この時の失敗が良質のコオロギを養殖する優良な生産業者を見抜く力を授けてくれたのです。
昆虫食の現場を知り、徐々に取扱商品を拡大へ
国内で昆虫食を行っている県として有名なのが長野県。イナゴのつくだ煮やハチノコ飯など有名ですよね。聞くところによると、いずれも自家製で食しているところもあり、家庭により少しずつ味わいが違うようです。
それでも基本は醤油と砂糖で甘辛くしてしまうのが一般的。
それに引き換え、タイや中国、メキシコなど、国が違えば食する昆虫の種類も食べ方も、大きく変わってきます。
こんな風にひとくくりに国名で話をしてしまっていますが、正確なところは虫を食べる文化を持つのはそれらの国でもごく一部なのだそうで。タイでも山間部、中国でも山岳地帯に先住する民族が食べていたりするのだとか。
まだまだ日本ではなじみのない昆虫食。それゆえにバグズファームでは、現地での食べ方を紹介するとともに、日本でも食べやすいメニューにアレンジしたり、国内で昆虫を食べられる飲食店などもオウンドサイトで紹介しています。
ビジュアルのグロさからどうしても罰ゲーム的な要素をぬぐい切れない
国内では、昆虫食ってパーティーグッズのひとつ、それも罰ゲームのアイテムとして使われることがどうしても多い。
バグズファームが卸している某量販店では、ポップに〝罰ゲームグッズ"として大々的に謳い、購買を伸ばしていると言います。
バグズファームとしては多少(?)不本意なところはあるとはいえ、それでも昆虫食の認知には仕方ないことだし……とあまり大きく気にする風はありません。
まだまだ認知度が低いとあって、同社ではYouTube『バグズクッキング』でタレントの井上咲楽さんを起用し、さまざまな昆虫料理に挑戦中。
でもねぇ。これ何となく、ゲテモノ料理風な雰囲気が払しょくできていないのはあえての様式美なのでしょうか? それでも見ているとちょっと食べてみたくなるので不思議です。
実食! 虫ふん茶
今回、記者はバグズファームのあるRON本社をおたずねしました。
RONの社屋はバス停の目の前。かつてピアノかなにかの倉庫をリノベーションしたというおしゃれな外観です。
数ある昆虫食を手掛けるバグズファームですが、今回満を持して提供する虫ふん茶、中国の山岳で暮らすモン族の間では、解熱や整腸、病み上がりの滋養強壮を目的に飲まれているお茶らしい。
通常に飲めるお茶の葉を飼料に、メイガの幼虫の出すフンを集めて、ティーバックのお茶にしているのですね。取扱製品は、効率的に工場で量産したものになります。
お茶の葉しか食べていないため、排出されたものは100%お茶の葉。飲用のお茶なので、茶葉自体が発酵しているのですが、それを虫が食べて、わずかに含まれている脂肪分やたんぱく質などを消化し、虫のおなかの中で発酵させて出てきたものになるわけです。
肝心のお味は?
見た感じ、紅茶と同じ色合いをしています。味は、上品で渋みのないすっきりとしたウーロン茶か、高級なプーアール茶といった感じ。本当においしく頂けました。鼻腔に広がるふくよかな香りからは、メイガのフンと言われなくては全くわかりません。
見た目も味も、むしろ高級品なこのお茶を、昆虫食の手始めにたしなむのがおすすめです。
辻さんも、初心者で昆虫食を始めてみたいという人には、形がある程度わかるものよりも、虫の糞とはいえ虫の形ではないこのお茶なら、抵抗なく頂けるとのこと。
この春、昆虫食に興味があるなら、このお茶からスタートするのもいいかもしれません。
今後の目標は?
バグズファームが昆虫食を手掛けてはや6年。7年目の今年、バグズファームの今後の目標は、罰ゲーム用アイテム・ゲテモノ食いからの脱却です。導入時は昆虫食の認知が不可欠でした。昆虫食になじみが薄い日本人に、どのようにアピールするかを考えた結果、いち早くそのトレンドに乗り、提案してくれた量販店のアイデアは非常にありがたく感じたともお話ししてくださいました。
また、SNSでは罰ゲームを中心に昆虫スナックを食べる動画などで同社の製品が取り上げられ、「食べてみたら意外においしい、意外にいける」という反応を受け、ユーザーが広がりつつあることも明かしてくれました。
これから先は、いよいよ食材としての流通です。
バグズファームは食用昆虫の〝食材としての魅力″を広げるため、教育機関や料理研究家と用昆虫を使用したメニュー作りを取り扱い当初から企画しています。
専門家と組んでメニューを開発するメリットとして、食用昆虫の栄養価の高さをアピールすることができる点です。
昆虫食を栄養の観点から見つめなおし、食材として今後は訴求していきたいと考えているのです。
昆虫は固体が小さく、それゆえに薬品などにもすぐ反応します。その観点からすれば、余計な薬剤などを使用していない究極のオーガニック食材とも言えるでしょう。
高たんぱくで低カロリーな安全食材、食用昆虫。虫唾(むしず)が走るとか、気色悪いという先入観を捨て、そろそろ自身の健康と地球の将来を考えて、昆虫食を始めてみませんか?
初めてのあなたは、まずはお茶から試してみましょうよ。これ、虫の糞(ふん)ですけれど……。
商品情報
商品名 虫フン茶
販売元 バグズファーム(株式会社RON)
販売サイト https://bugsfarm.jp/shopdetail/
公式サイト https://bugsfarm.jp/
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